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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第5章 【聖夜は26日】


日が傾いて更に冷え込みが増す中力は自宅に帰る。帰るといつもは部屋から出てくる義妹の美沙が出てこない。そういう事は過去に何度かあって中には美沙にとって都合が悪い事も含まれていたから力は休みだというのに何かあったのかと不安になる。母に聞くと特に何かあった様子はないという。寝ちゃってるのかなと思いつつ力は自室に入り、着替えて荷物の整理をした。

自室のドアが控えめにノックされたのはしばらく後の事である。

「兄さん。」

義妹の美沙の声がする。泣いていた様子もない、無事なようだ。

「どうぞ。」

言ってやるとカチャリとドアが開くがなかなか美沙本人が入ってこない。一体どうしたことかとドアの方を見ると美沙はそおっとドアの影からこちらを伺っている。顔が赤い。髪型がいつもと違う。そもそも頭にヘッドドレスが装着されている時点で大体想像がついた。

「笑わないから入っといで。」

声をかけてやると美沙はおずおずと入ってくる。入ってきたその姿に力は目を見開く。またこいつはと力は思った。

「に、兄さん、お、おかえり。」

いつだったか清水からもらったピンクロリータなフリフリの服を着た美沙がつっかえながら言った。やはり顔が赤い。

「ただいま。で、わざわざそれ着てきてどうしたんだ。」
「えと、んと」
「うん。」

半分パニックになっていることが明らかな義妹、力は静かに次の言葉を待つ。

「お、お誕生日おめでと。こ、これ、プレゼント。」

よほど照れくさいらしい。顔を上げず体をほぼ直角に曲げて義妹は包みを差し出した。包みにはカードがひっついている。おそらく画像加工して自作した物だろう。なるほどと力は思った。確かに谷地さんの言うとおりだったな。

「ありがとう、美沙。」

力は微笑んでそれを受け取る。

「開けていいかい。」

義妹は姿勢を元に戻し、うんと小さく呟く。顔はやはり上げないまま、両手を後ろにやって片方の足のつま先が床をなぞっている。当人は間違いなく何も考えていないが力からすれば完全に萌えキャラかお前は、だ。

「あ。」

力は呟いた。
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