第5章 【聖夜は26日】
今度は家に帰って義兄の力がまだ帰っていない間、美沙は自室でゴソゴソしていた。
「ええと、どの柄にしよかな。」
手にしているのはCG素材集の本、小遣いをためてやっと買えたその1冊は動画用の絵を作成する時ずっと世話になっている。多く載っている愛らしい柄に目移りしまくりながら美沙は考えこみ、ページをめくってはこれにしようと思った素材が載っているページに付箋を貼り付けた。次に本棚から各種CD-ROMやDVD-ROMを収めているファイル型のケースを取り出して、中の1枚をノートパソコンの光学ディスクドライブに挿入する。とある事情で祖母から与えられたそのパソコンのはブルーレイディスクの読み書きのみならずDVDやCDの読み書きにも対応しているという妙なハイスペックぶりだった。それはともかく光学ディスクドライブが唸りを上げて中を読み込む間に美沙はペンタブのUSBケーブルをパソコンに繋ぎ、ペンタブから操作してお絵かき用のソフトを立ち上げた。
「よっしゃ、加工しよか。」
自分に向かって言いながら美沙はペンタブを動かし始めるのだった。
準備はまだ続く。美沙は部屋のクローゼットをゴソゴソして紙袋を取り出している。紙袋は少し膨らんでいた。
「これお着替えするのめっちゃ大変やけど、まあええわ。」
ため息をつく美沙、しかし義兄が喜んでくれそうならやろうと思う。
「後は、髪飾りはこれにしよかな。」
今度は引き出しの上に置いてあるヘアピンやリボンの類を入れているケースをゴソゴソする。気弱でビビリの癖に腹をくくると早いのも相変わらずだった。