第21章 【初めてのアルバイト】完結編
そうしてまた別の日である。
「何でまた来るんすか、暇なんすか。」
「おう、暇だ。」
「威張って言う事かよ。」
「何か言ったかぁ二口ぃ。」
「やめとけよ鎌ち。」
「とにかく何で茂庭さんと笹谷さんまで来るんすか。」
「お前のせいで美沙さんが暴れたら困るからな。」
「俺っすか。」
縁下美沙の勤務先へ青城の連中も上回るでっかい野郎共が大半プラス美沙よりは学年が上と思われる少女の集団がぞろぞろと向かっている。
「お前美沙さんと顔合わすとすぐ余計な事いうだろ。」
「あの半分ボケが意味不明だからっすよっ。」
「今半分ボケとか言ってる時点でもうアンタ危ないんじゃない。」
「滑津てめぇっ。そもそも何でお前とかパンタロンとかも来てんだよっ。」
「私は茂庭さんと一緒、アンタが何するかわかったもんじゃないから。」
「俺は何か面白そうだと思ったから皆を誘ってみた。」
「俺は青根さんが気になってる方ときーたのでっ。」
「黄金川てめーにはきーてねぇっ。」
「僕も気になりました。」
「俺と吹上も作並に同じく。」
「オバ、てめーらもか。」
「そろそろ着く。」
「あーそーかよ。」
勿論何も知らない美沙はその時商品の棚の埃をそっと取ったりなぞしていた。そこへガラガラと店の扉が開けられたのですぐ振り向く。
「いらっしゃいませーって、あ」
今度はあーっと叫びそうになった。
「マジでてめぇかよ。」
舌打ちしながら言うのはご存知二口である。
「あ、青根さんお久しゅう。」
美沙は二口をスルーするという手に出た。まともに相手をすると面倒くさい。青根はこっくりと頷く。