第1章 悪魔の正義
「うむ、こやつらを磔の刑に処そうぞ。」
グラスはニヤリと笑う。
ノアルールはそんな事をして良いのかと思い、グラスに聞いた。
「え、磔の刑?
アメリーゴ国王様の元で処するんじゃ…?」
グラスはよい質問だと、うむうむとうなずく。
「いやいや、我らは別に良いんじゃ。
まあ、それよりもこやつらの陰部を引きちぎって、女の痛みを味あわせてー」
「…オーナー、貴方女をやめましょう。ね。」
グラスはどや顔をしながら言うと、ルーラの無表情が少しむすっとした顔でさらっといいのけた。
ノアルールはというと、顔を赤らめてあたふたとしている。
ルーラはあきれた顔で気絶する大男二人を一ヶ所に集め、手を縄で縛り付けながらぼそりと言った。
「ゴミは世の中から消えろ。」
ノアルールははっきり聞こえなかったが、明らかルーラが人を殺す目で呟いたのを見た。
「しかし、家が荒らされてしまったのう…」
「はい…」
グラスはところどころボロボロになるノアルールの部屋を見て言った。
「狭いねぇ。
お前一人で暮らしているのか。」
グラスはルーラの横に並び、ノアルールと対面になる。
「おお、そうじゃた!!
ノアルール、良かったら我々のギルドに入らないか?」
グラスはにこにこして、ノアルールに話しかける。
ルーラはなんだか嫌悪な顔をしたが、グラスは気にしない。
「ギルド…スパークルタワーですよね?」
ルーラはだから?と言いたげな顔をしたが、また冷静にノアルールを見た。
「やめて置いた方が身のためだ。」
ルーラはノアルールを見ずに、冷たい言葉を放つ。
しかし、ノアルールは怯まずに、まっすぐな瞳をして言った。
「私、行きます!
二人に恩返しをしたいです!」
ノアルールはにっこりとした。
グラスはふぅとため息をした。
「じゃ、我々のギルドに帰るか、ノアルール…」
次第に声に元気が無くなるグラス。
空気が一変し、突然二人は絶望の顔をした。
「余り聞きたくない返事が来たのぅ…
来ると行ったからには、人を殺す事も覚悟しておくんじゃな…」
「まあ、歓迎する。
ようこそ、重い深い地獄の門へ。
人殺しをがんばってするんだな…」
ノアルールは背後に回ってきたグラスに後頭部を叩かれ、気絶した。