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MOON ♘night♘ DANCE

第4章 踊り狂った歌姫


「…にしても、かなり有名になったな。」

薄暗い部屋の中、ネズミが這いずり周り、床に落ちている錆びた鉄パイプ、黒く薄汚れたダンボールの山に囲まれて、男三人いるうちのリーダー格の一人が綺麗なソファーにふんぞり返りながら呟いた。

すると、ぎぃぃぃと嫌な音をたてて扉が開いた。
男二人に連れられ、1人の少女が虚ろな目で部屋に入ってくる。

「…やく、くれよ…」

少女ーシャーナは、口からヨダレを垂らし、ガクガクと震えて暴れはじめた。
しかし、男二人に取り押さえられバタバタと藻掻く。
リーダー格の一人の男がそれを見て嘲笑う。
手錠を架けられたシャーナは、男二人に投げ捨てられ、鎖をジャラジャラと鳴らした。

「早く薬くれよ!!!
早く!!
我慢ならないんだよ!?
今日も私、頑張れたはずさ!!
ワーファぁぁぁ!!!」

足に力が入らないシャーナは叫んだ。
猛獣のように変わり果てて。
リーダー格の男ワーファは、唸る彼女に近づいて、錠剤三つを汚い床に落とした。
シャーナはそれを貪り、唾と一緒に飲み込んだ。

「ぁぁあ…
生き返るよぅ。」
「ったく、面白い。
なぁカンレムさんよ。」

部屋の隅の柱にもたれ掛かったオールバックの茶髪に白衣を着た者は細く笑った。
そしてワーファは、顔ごと上を向くシャーナに近づいて耳元で囁いた。

「今日はよく働いたな。
"御褒美"は何がいい?」
「はぁぁ…♡
"いつもの褒美"に決まってるさ。」

ワーファは下っ端の男達に命令をし、またソファーに掛けた。
すると下っ端たちはシャーナを囲むように近づいていった。
白衣の男、カンレムはやれやれと口にしながらワーファの隣に来て、シャーナ達を見物しながら言った。

「それにしても、薬は失敗してしまった。
まぁこれはある意味"成果"だ。
動物みたいに本能で動くのは予想外だが、ハードな仕事は上手くこなせれる。」
「なかなかエグイねぇ。
…俺はそれが好きだけどな。」

二人が話をしている目の前で、男女の行為は繰り広げられていた。
シャーナの呻き声が激しくなり、男女の吐息が部屋に入り交じっていた。

「人間って、本能を抑えているから面白い。
俺はただ、そのリミッターを外してやったに過ぎない。」

カンレムはワーファに背中を向けると、カツカツと革靴を鳴らして、手をヒラヒラと振って扉に向かって行った。

「失敗作はあげるよ。」
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