第4章 踊り狂った歌姫
あの正義ギルドの集いから、早1週間。
ノアルールは、ルーラが子供たちとワイワイ楽しそうに遊んでるのをずっと眺めていた。
「ねー、サクラねーちゃん。
遊んでよ。」
子供四、五人のうちの、鼻水を垂らしズルズルと鼻を吸っているツインテールの女の子が言った。
ノアルールはまだ言葉に気付かずボーとしている。
なんだ遊んでくれない、と子供たちは次々と散らばっていく。
それに気がついた、ルーラと楽しく遊んでる子供の中で男の子1人がそれに気がついた。
「ねー、さっきからお兄ちゃんを見てるよ〜?」
ルーラはふとノアルールを見ると、瞳の奥底を隠しながら笑顔で
「何かな?
ちょっと聞いてみるから、みんな仲良く遊んでて。」
と言って子供たちの手を離すと、子供たちはわぁーと散らばってそれぞれ遊び始めた。
ノアルールは近寄るルーラを見て、ふと合った視線を逸らした。
ルーラはニコニコしながら、ノアルールに群がる子供を見ながらかがんで言った。
「ちょっとその"おねえちゃん"に用事があるから、遊びに行ってきて。」
ノアルールは、あ、と言葉を漏らしたが、子供の一人が離れていった。
ルーラの笑顔が消え、子供たちに聞こえない声で話した。
「言いたいこと、あるんだろ?」
ノアルールは無表情で黙ったまま椅子に腰掛けた。
「ないです。
何も。」
ルーラは、はっと笑い、ノアルールの顔に自分の顔を近づけた。
「あの夜、俺に尽くせて最高だったんじゃねぇか?
…それとも、まだ足りなかったか?」
悪魔みたいな笑いに、ノアルールは悔しくて涙した。
―どうして、私は拒む力が無かったんだろう……!
自分の左腕を掻きむしると、頭を左右に振り涙を呑んだ。
―でも、どうして、あんなに苦しんでいるのかな…
「あなたは、人間の、他人の気持ちが分からないんでしょうね…」
ノアルールは涙をポロポロとこぼして、ルーラに笑った。
ー♪
すると、どこからか曲が流れてきて、ノアルールはふと音のなる方へ振り向いた。
ー♪いつか忘れた
辛い日を思い出し
涙をポロポロこぼして
悲しんでたけど
それもきっと
私が歩む道なんだって
気づいたの♪ー
シスター姿のグラスが、子供たちに囲まれラジオを手にし歌っていた。
ノアルールはそれを見て泣いた。