第3章 誓いの剣と口紅と
―太陽が真上に来た頃、グラスはシスターの格好をして、馬車を乗り継ぎ、アメリゴ王国の中心部にあるカトレア聖堂に来ていた。
聖堂の中に入ると、多くの人がお祈りしている。
グラスは誰もいない場所に行き、壁画の前に立つ。
周りに人がいないのを確認して、壁画を押した。
壁画の向こうに隠し通路が出来ると、慣れた様子で向かった。
グラスは重そうな扉をいとも簡単にあける。
扉の向こうには、大きな机と、各ギルドのオーナーが机を中心に椅子に座っていた。
「グラス=スパークルただいま遅れた。」
グラスはしんと静まり返る部屋にある空きの椅子に近づく。
一番奥に座るものは口を開いた。
「遅い。
時間厳守だぞ、スパークル。」
30代後半の、後頭部に団子結びにした髪形の女がいった。
彼女の名前はマデュラ=カンザス。
正義ギルドの取り締まり役の一人だ。
「申し訳ない、皆方。」
グラスは、マデュラとギルドのオーナーに一礼した。
―正義ギルドとは、王直属のギルドとその傘下に分けられる。
つまりスパークルタワーは、マデュラが率いるいるゴッドジャッジと言うギルドの傘下四つの内の一つだ。
「さて、今回の任務だが……」
グラスと他のものは、マデュラの言葉をきく。
「王からお達しがあった。
我々正義ギルドに依頼だ。
ギルドでの共同作戦であり、それぞれ3つずつに分けー」
マデュラは黙々と話を続けていると、グラスの左横から声が響いた。
「質問いいですか?」
グラスは左を見る。
薄暗い部屋の中で、長い髪を束ねた金髪の女が不思議そうに言った。
「なんだ?」
マデュラはそっちに目をやって言った。
続けろと言わんばかりの顔で見る。
「今回、三つのギルドでの共同作戦で任務を果たすのですね。」
女は柔らかい声音で言った。
マデュラは、まぁなと言わんばかりの声で言った。
「グラスさん、今回は貴女のギルドと私達のギルド、イーグルネイルズで組みます。……ですが、そちらの方々が私たちに被害を及ぼし兼ねませんが、今回はいかがなものでしょうか?」
グラスは黙ったまま頷いた。
表情は納得していない。
金髪のあの店員の女ーソードアンドルージュのオーナー、オークは冷静に淡々と言った。
「私たちは誓いますわ。
私たちも"仲間同士"争わない事を。」