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MOON ♘night♘ DANCE

第1章 悪魔の正義


ここは暗い部屋の中。
軋んでいるベットの上に、動く一つの影。
…かと思いきや、その影は二つに別れて人の形を写し出す。
微かなバラの薫りと、微かなうめき声が混ざりあう部屋の中。
男は女におおいかぶさり、濡れる身体を合わせて抱き合う。
女は男の唇から自分の唇を離すと、首に腕をまわし抱き締める。

「私、あなたが好き。」

女は腕を外すと枕の下に両手を入れ、男は左手にキラリと光る物をひそませながら、女にキスをした。

「…ね、私を…怖い悪から守って?」

切ない声ですがる女に、男は優しく耳元で言った。

「悪は滅ぼさなければな。」

すると男は刃物を両手に女の左胸を一気に突き刺した。

「!?
ガハッ!!」

女の顔が歪み、口から血が大量に溢れる。
男の優しい表情が一変し、目を見開いて女を見下しながら言った。

「俺を殺しそこねたな。
枕の下にはさぞかし素晴らしい物があったんだろう。」

男はただ、冷酷な表情で女を見下ろす。
女は薄れる意識の中で、男が枕をどかし、鈍く2本のナイフを無表情で見ているを微かに見た。

「くっ…そぅ…」

女は苦しい呻き声と共に最後に口にした。

「ルーラ=コロラド……
貴様は我々を滅ぼせない…忘れるな―」

女は胸をおさえ、目が少し開いたまま意識が無くなった。
女の最後を残酷な目で見下ろしていたルーラは、ドアをふと見た。

ドン…ドン!ドン!!
バキバキバキッ

ドアが壊れると同時に二つの影が姿を表した。

「またせたの~☆
敵を残滅したぞ~♪」

明るい女の声が部屋に響く。
肌が殆ど露出した服を着ていて、先が二股に別れるピエロの帽子をかぶる女が、だらんと力の無くなったスーツ姿の男を両手にかついでいた。

「うおっ!!
ルーラ…素敵じゃのうっ♡」

女は驚きながらスーツの男をバンッと地面に叩き落とし、ルーラの身体を隅々まで見てきゃ~と奇声をあげる。
特に自分の無いものを見て。

「…オーナー、どこ見て言ってるんですか。」

ルーラは冷静に言うとバスローブをはおり、窓の外を見る。
オーナーと呼ばれた女―グラスは、ルーラがバスローブを着たことにむっとした。
ルーラは気にもせず、黙々と服を着る。
グラスはどうして服を着るのだろうなと、ブツブツ言う。
そして少し真剣な顔をして言った。

「ルーラは仕事熱心じゃ。」
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