第1章 はじめまして
「眠い」
ぽつり、と声が漏れた。
「学校、終わったあとだもんね」
横の姉が苦笑すれば、その声を聞いた、高校生とは思えない位大人びた彼が口を開く。
「わざわざ有難うな、名前。今年は面白い一年坊が入ったんだが、会うのは初めてだな」
そう、少し嬉しそうに頬を緩め笑う姿は昔から変わらない、大地さん。
数分駄弁っていたら、すぐにその場が騒がしくなった。
「潔子さーーー…、おぉ!?!?名前!!!!」
田中さんが私を指差し大声でいう
相変わらず騒がしい。今でもムードメーカーやってるのかな?
「うっす、お久しぶりっす」
なんて笑いながら手を振ってやると、背後にはおか…じゃなかった、スガさんと縁下さん
「おぉ、来てくれたのか!」
なんて、懐かしそうに目を細めればまるで妹のように私の頭を撫でた。
「はい、今日は宜しくお願いしゃす」
そう、今日は1日女子マネ
なんて言ったって、コーチも顔見知りだからちょっと練習試合に連れて行ってもらうだけ。
今日の相手は、青葉城西らしい。
青葉城西、あれだ、ちょっと苦手な人がいる高校だ。
その"苦手な人"の顔を思い浮かべてしまい顔を顰める
そんなことも知らず田中さんは
「お前相変わらずちいせぇな!!!」
なんて言ってくる。
ひと人の気も知らずに…。
取り敢えずそんな事言う田中さんの腹部にボディーブロー
がちゃり、部室棟のドアが開いた。
勿論、男子配給部の扉。
階段を降りて来たはオレンジの髪の毛の男の子
「スミマセン!!!!!」
と勢いよく頭を下げればスガさんが「大丈夫だから」と苦笑し頭を上げさせる。
オレンジ君が頭を上げた瞬間、目の前に広がるは女の子が自身の先輩である田中さんにボディーブローをかましてるという謎の図
硬直し、周りを見るも、先輩は難無く受け入れている様子にさらに目を見開き首を傾げる。
全身から『何がどうなってるんだ』という気持ちが駄々漏れである。
その後降りてきた3人も首を傾げる。
これが、噂の一年坊かな?