第19章 ・遭遇

「ふっざけんなあああああっ、あんだけかましといて自分は違うてどの口が抜かすっ。」

しかも—後で自身も驚いたが—文緒は猛然と岩泉に言い返したのである。

「何てことをっ、一緒にしないでくださいっ。」
「うるせえ黙れおめーら2人共ど天然だっつーのっ。」
「天然は兄様の方ですっ、私は違いますっ。」
「やかましいわ無自覚も血筋か遺伝子かっ染色体は歩くんかっ。」
「ちょっとちょっとウシワカちゃんて兄様って言われてんのっ、あと岩ちゃんが頭使ってる件っ。」
「クソ川おめーはぶっ飛ばすっ。」
「というか急に入らないでくださいな、話がややこしくなりますからっ。」
「何なの2人ともいきなり楽しくやりだしちゃってさっ。ずるいー、及川さんも混ぜてよー。」
「うるせえ寂しがりかっ。」
「うん、1人だと俺死んじゃう。」
「無駄に真面目な顔でおっしゃる所が腹に据えかねますね。」
「同感だわ。」
「それよりああどうしよう、また他校の方とこんな事になってるなんて兄様に知れたら。」
「一体ウシワカはお前に対してはどうなってんだ。」
「元々はチームの方から私の事に関心が無さ過ぎると注意されていたらしいのですが、最近は1人でウロウロするなとしきりに言うんです。」
「過保護かっ。」
「どうなんでしょう。」
「気づけよっ。」
「ちょっとぉ、俺の事スルー。」
「まるでちっちゃい子みたいな方がいらっしゃいますが。」
「ほっとけ、いつもだ。」
「大変そうですね。」
「おう。まさかウシワカの身内に言われるたぁ思わなかったけどな。」
「すみません。」
「謝るこたねえけど。」

結局何やかんや言いながらも文緒と岩泉は親しく話し込んでしまい、途中からほっとかれた及川はブーブー文句を言っていた。
それはもう混沌にも程がある状況だった。