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【ハイキュー】ウシワカイモウト

第15章 ・無自覚に縮まる距離


その辺りはわかったが何故日向の名を出す時に若利が嫌な顔をするのかがわからない。どうしようと思って文緒が俯いていると若利が文緒、と呼ぶ。

「はい。」
「誰かお前と同じ時間に下校出来る友人はいないのか。」

いきなりすぎて文緒は不思議に思うが一応答えてみた。

「申し訳ありません、兄様。私はクラスでも嫌われ者に近い立場です。」
「ならば俺が終わるまで待つか。」

とんでもない話だ、文緒は戦慄した。若利は一体何を言っているのか。

「兄様、一体何のお話でしょう。」
「わからんか。」

ズズッと顔を近づけられ文緒は更に怖気付きしかし首を振ってわからないと言う意思を伝える。

「お前を1人にさせておけないという話だ。」
「あの、何故そうなるのでしょう。」
「お前は少々天然が過ぎる。」
「兄様に言われるとは何てこと。」
「何か言ったか。」
「いいえ、兄様。」
「隠し事をするな。」
「兄様、私は」
「ヒナタショウヨウらと会った事も黙っていたな。」
「お許しください兄様、話すタイミングがなかっただけです。大事があった訳でもないので無理に話す事はないかと思っておりました。」

また僅かに眉根を寄せる若利、なるほどどうやら義兄は日向らが何となく気に入らず彼らが文緒と話していたのも気に入らないらしい。しかしその理由がわからない文緒は混乱状態だ。更に今日の若利は妙に口数が多い。

「俺はお前を知りたいと言ったはずだ。」
「兄様。」
「わかっているなら役目を果たせ。」
「はい。」

文緒は叱られているのか何なのかわからないまま小さく返事をする。すると驚く事が起きた。若利が文緒の両肩を掴んで引き寄せてきたのだ。

「お前は俺の話し相手だ。必要以上に他の男と話す事はない。」
「あの兄様」

真っ直ぐ見つめられて文緒は困惑した。言い方がアレなのではたからするとわかりづらいが若利は物凄い事を言っている気がする。

「文緒、」
「はい、兄様。」
「できるかぎり俺の側にいろ。」
「兄様」
「返事はどうした。」

自分よりずっとでかい握力も半端ではない手に力がこもるのを感じた。思わず文緒は自分の肩を掴む若利の左手に自分の片手を重ねる。
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