第14章 ・落し物お届けとその後
「俺の妹に手え出すなって言ってるようにしか聞こえなかったな。自覚してるかどうかは知らないけど。」
「縁下さんスゲー。」
「想像だけどね。」
「文緒さん、俺のせいでウシワカに怒られんのかな。」
「ガラにもねーこと気にしてんじゃねえよ、日向のくせに。」
「影山には言われたかないっ。」
「だから喧嘩しない。」
微笑む縁下から何かの圧を感じて日向と影山はうぐっと唸った。
さて、一方白鳥沢学園高校である。
バレー部のメンツがヒソヒソ言い合っていた。というのも先に戻っていた若利が何となく背中からショワショワしたオーラを出しているからだ。
「若利君、何か機嫌悪くない。」
「誰か気に触ることしたんじゃねえのか、天童あたりとか。」
「英太君俺を何だと思ってるの。」
「お前いつもとめどねえだろ。」
「ひどっ。」
ゲーンとなる天童の近くで白布がもしかしたらと呟く。
「あの妹が噛んでるのかも。」
「文緒が悪い事したとかですか。」
五色が尋ねるがそれはないないと川西、山形が手をブンブン振りながら言った。
「よし太一、聞きに行け。」
「嫌ですよ山形さん、工行ってこいよ。」
「俺ですかっ。」
「若利で遊ぶなよ。」
大平がたしなめるが時既に遅しだ。
「牛島さんっ、何で機嫌悪いんですかっ。」
五色が突撃してしまった。大平が慌て白布があの馬鹿と呟くがどうにもならない。
「別に悪くはない。」
「でも何か雰囲気ヤバイです。」
「おい誰かあの馬鹿止めろっ。」
瀬見が叫ぶが天童はいいじゃん面白そうと抜かし発端の山形も止める気がなくそのまま見守り川西もさり気なく面白がっている始末だ。
「そうだったか。」
しかし当の若利はこの通りである。天然ボケを通り越して天然記念物かもしれない。
「はい。文緒が何かしたんですかっ。」
「馬鹿やろっ。」
瀬見が叫ぶがやはり届かない。若利の顔がごく僅かに嫌そうな具合になる。
「大した事はない。」
「何かはしたんですか。」
「俺に隠し事をした。」
たちまちのうちに五色以外のメンバーが固まった。白布ですら顔がヒクヒクと痙攣している。しばらくの沈黙の後、天童がえええええっと声を上げた。