第14章 ・落し物お届けとその後
「若利君どしたの、何か変なもんでも食ったの。」
「何がだ。食あたりなどは起こしていない。」
「そーゆー意味じゃねーだろっ、お前天然大概にしろよなっ。」
「文緒はともかく俺は違う。」
「兄妹揃って無自覚も何とかしろっ。」
「どうした瀬見、珍しく何をいきりたっている。」
「大体お前のせいだっ。」
喚く瀬見の後ろでは山形が川西になあ、と言っている。
「太一、もしかしてあいつら兄妹揃ってお互い自分は天然じゃない、天然はあっちだって言ってんじゃねーだろな。」
「充分あり得ると思います。」
「文緒ちゃんだもんネー、余裕で想像つく。」
「そうか、若利とうとう文緒さんをちゃんと気にするようになったんだな。」
「大平さんはしみじみしないでください。」
白布が呆れたように言う中、更に輪をかけて五色が天然ボケ丸出しでやらかした。
「隠し事って何ですか。」
「工、お前そろそろ黙れ。」
げんなりしながらもたしなめる瀬見、しかし若利は答えた。
「気に入らん相手と親しく話していた。」
仲間達は今度こそシーンとなった。
「若利君さ、父ちゃんにでもなったの。」
天童がポツリと呟いた。
「俺はまだ学生だ。子供などいる訳なかろう。」
「うん、そーじゃなくてね。」
「どういった話だ。」
「言わせるの、もー。若利君てさ、たまに頭いいのか馬鹿なのかわかんないよね。」
「失礼だなって言いたいけど今回は俺も同意する。」
「瀬見さん、ぞっとしないけどって顔に出てます。」
「言うな、白布。」
いつになく話しているうちに落ち着いてきたのか機嫌が直ってきた若利は首を傾げていた。
次章に続く