第13章 ・変人コンビとの邂逅
「親が亡くなったの。でもどうして牛島さんちが引き取ってくれたのかはわからない。」
「文緒さん答えちゃうのっ。」
日向がゲーンッとなるが文緒は首を傾げる。そしてうかうか質問した影山の方は顔が青ざめてヒクヒクしていた。流石に聞くんじゃなかったと思ったらしい。
「悪かった。」
「気にしないで、本当の事だし。」
「お前、いい奴だな。」
「自分ではよくわからないけど。」
「だよなー、文緒さん優しいよなー。くっそージャパンめぇ、やっぱ羨ましいっ。」
「その辺はよくわからないけど。」
「ぜってー勝つ。」
力強く言う日向に文緒は思わず笑い返す。
「兄様達は負けない。」
「あーっ、言ったなっ。でもでも俺らがぜってー勝つっ。」
「油断禁物だね。」
ビョインと飛び上がる日向を思わず見つめながら文緒が呟くと影山がはっとしたように言う。
「って、やべぇっ俺も一緒に駄弁っちまったじゃねーかっ、日向ボゲッ。」
「釣られたのはお前じゃんっ。」
「影山君ていつも悪口ボゲばっかりなの。」
「ブッ。ほらぁ、やっぱり突っ込まれてるしー。」
「う、うるせぇっ、これから増やすんだこれからっ。」
「それも何か違う気がする。って、あっもうこんな時間。私も早く帰らないと。」
「ウシワカに怒られるの。」
「兄様は何も言わないと思うけど多分、お母様が心配する。ごめんね、バイバイ。」
「おう、またなー。」
バタバタ駆け足でその場を離れる文緒の後ろから日向が大きな声で言う。またなってまた会うと思ってるのかなと文緒は不思議に思いながらも走って家路についた。何か落ちる音がしていたがまったく気がついていなかった。