第13章 ・変人コンビとの邂逅
余談ではあるがその後の事である。
「日向、それどうしたの。」
烏野高校男子排球部部室にて、2年の縁下力が日向に声をかけた。日向の手には透明なプラスチック製の小さな飾りがある。桜の花型をしたそのプラスチック製の板には和柄の赤い布が挟まれている。可愛らしい。残っている金具からして恐らく携帯ストラップについていたと思われるものだ。
「あ、縁下さん。文緒さんの落し物拾っちゃって。」
「文緒さんって。」
「ウシワカの妹。」
たちまちのうちに縁下のみならず烏野男子排球部の連中ほぼ全員がえええええっと騒ぐ。
「ランニングですっ飛んだままなかなか帰ってこないと思ったらまたえらい人と知り合ったんだな。」
「にーちゃんと違ってすっげぇ丁寧で優しそうな人でした。」
「親が死んで義理の妹になったんだからそら違うだろ。」
「うん影山、そんな余計な情報いらないから。で日向、それどうするつもりだい。」
「今度届けに行きます。」
当たり前のように言う日向に縁下が慌てる。
「行くって白鳥沢だよ。」
「でもきっと文緒さん困ってるから。」
「大地さん。」
「仕方ないな、行って来い。でもその子にもウシワカにも渡せそうにないなら無理せず諦めろ。縁下、付き添ってくれ。」
「了解です。」
「何で縁下さんが付き添い。」
「君だけ行かせたら何するかわかんないからデショ。」
「何だと月島ー。」
「俺も行く。」
「何で影山もだよっ。」
「何となくだ。」
「いいのか、縁下。」
「影山増えるくらいなら大丈夫だよ、成田。もともとセットだし。」
当の牛島文緒は何も知らない。日向と影山がおかしな速攻を使うコンビとして義兄に覚えられている事もその烏野で家に帰ってから無くした事に気づいたストラップの飾りを日向に回収されて届けるのなんのの話になっていることも全く知らない。
ただ、あのストラップの飾り気に入ってたのになでもきっと出てこないよねなどとぼんやり思いながら食器を洗っていたのだった。
次章に続く