第13章 ・変人コンビとの邂逅
「俺の事、いきなり年下扱いしなかった人初めてかもっ。」
なるほどと文緒は思った。
「因みに日向君は何年。」
「日向でいいよ。俺、1年。だから一緒。」
「そう、なんだ。」
つぶやく文緒に日向は1人うーんと唸っている。
「そっかぁ、ウシワカの妹かぁ。あの人ってめっちゃきつくね。」
「厳しいのは確かだけど根は悪い人じゃないと思う。」
「やっぱり家でもあーなの、何かかってぇっていうかなんていうか。」
「まあ兄様だから。っていきなりどうしたの。」
日向は吹き出していた。
「に、にーさま、兄様って呼んでんの。」
「うん。会った時からそんな感じがしてついそのまま。やめろって言われないし。」
「へー。仲良いのか。」
「悪くはないけどどうかな。やっと話せるようになったとこだし。」
「確かにいっぱい喋る感じじゃなさそーだよな。」
「チームの人にやいのやいの言われてなかったら今頃ろくに喋ってなかったと思う。」
「うわ、何かすっごいわかる気がした。」
日向はボソッと呟き一瞬だけ目が死んだ。しかしすぐに戻って真っ直ぐ文緒を見つめる。
「でも、大好きなんだな。」
ニパッと笑う日向に釣られて文緒はうんと微笑んだ。
「くっそーウシワカいいなぁ、でかいしパワーあるしおまけに家帰ったらこんな優しそうな妹がいるなんてー。」
優しいかどうかは自信がないと文緒は思う。
「日向は兄弟とか姉妹とかいないの。」
「妹いる。結構歳離れてるけど。」
「きっと妹さんは幸せだろうね。」
「そぉ。」
首を傾げる日向に文緒はクスリと笑う。自分ならきっとこういうお兄ちゃんだと甘えまくりだろうなと思ったのだ。日向も釣られて2人がそうしてクスクス笑い合っている時である。
「てめぇ日向っ、どこにいやがるこのボゲェッ。」
随分の口の悪い怒声が響く。日向がやっべ忘れてたっとビクーッとした。文緒が何事かと思っている内に日向と同じ体操服のしかしずっと背の高い黒髪の少年がかけてくる。
「かっ影山っ。」
あわわとなる日向にしかし影山と呼ばれた少年は容赦がない。
「1人ぶっ飛んでったかと思ったらこんなとこで駄弁りやがってこのボゲがっ。手間かけさせんなボゲっ。」
「わ、悪かったって。」