第13章 ・変人コンビとの邂逅
牛島文緒が1人下校している時の事だった。今の所部活はやっていない文緒だが今日は遅い。珍しく委員会の仕事が食いこんだのだ。せめて今日は食器洗いくらいは手伝わないといけないなと思いつつ歩いている時だ。
「わっ。」
「うおっ。」
誰かとぶつかりそうになった。見れば体操服の少年一人、野郎にしては小柄だ。シャツの胸のプリントから白鳥沢の生徒でない事は確かである。
「すみませんっ。」
「いえ、私こそ。あの、」
文緒はつい好奇心に勝てずに尋ねる。
「もしかして烏野高校のバレー部の方ですか。」
少年は聞かれたことが嬉しかったらしい。
「そうっ、そーなんだっ。俺、日向翔陽。よろしくっ。」
いきなり自己紹介をされた文緒は警戒もせずに釣られた。
「牛島文緒と申します。白鳥沢学園高校1年です。」
「え、牛島っ。」
日向は反応した。
「牛島って、ももも、もしかしてっ。うう、ウシワカのっ。」
「牛島若利は私の兄です。」
日向はギャーンッという音が聞こえそうな驚いた顔をする。
「ジャパンの妹っ。」
文緒はつい吹き出した。確かに義兄の若利はいうなれば19歳以下の日本代表であるがあまりにそのままである。
「すっげぇっ、あのウシワカの妹なんだっ。」
「あの私はその、もともとは違いまして。」
「どゆこと。」
悪気なく聞いてくる相手に文緒は一瞬目を伏せた。
「義理の妹なんです。最近牛島さんちに引き取られまして。ですから若利さんは義理の兄です。」
「へー、そんな事あるんだ。何かすげー。」
どうすごいのかよくわからないと文緒は首を傾げるが日向は目をキラキラさせている。失礼だが身長云々以前に高校生っぽくないなと文緒は思った。
「と、ところでさぁ、」
「はい。」
「牛島さん、いや、えと」
「文緒でいいです。兄と混ざってわかりにくいでしょう。」
「文緒さんさ、何で敬語なの。」
「ああ、すみません。最初年上の方かそうじゃないのかがよくわからなかったもので。」
日向は何故かここでハワワワと感動する。