第11章 ・おかしな届け物
そういう訳で山形は休憩時間に若利から忘れたと騒いでいた携帯電話を受け取ることとなった。
「え、お前の妹が持ってきてくれたのか。何で。」
「知らん。」
「うん、お前に聞いた俺が悪かった。つーかそもそも妹に悪い事したな。」
あちゃーという顔で山形は後頭部をガシガシと掻き、瀬見がしょうがねぇなといったノリで言う。
「もうお前首からぶら下げとけよ。」
「重いじゃん。」
「少なくとも制服の間はコードで腰にでもつけたら良いのでは。」
白布ですら話に参加した。よほどよろしくないと思ったらしい。
「わかったわかった、もう教室には忘れねぇようにすっからさ。やーでも助かった、今度何か奢ろうか。おい若利、妹って何か好きな食いもんあるか。」
「知らん。」
きっぱりはっきりと抜かす若利にやはり仲間は黙っていない。
「無駄にきっぱり言いやがって、何て兄貴だ。」
早速瀬見が言う。
「アハハハ、若利君クオリティさっすがー。」
「天童さん、また妙な言葉仕入れましたね。」
「賢二郎は固いこと言わないの。」
「というか瀬見さんは知らないんですか。」
「川西、何で俺なんだよ。」
「俺らの中じゃ一番文緒さんと喋ってるって噂が。」
「どーなの、英太君。」
「一番好きかどーかは知らねぇけど豆おかきは食うらしい。」
「だってさー、隼人君。」
「うーん、どうすっかなぁ。」
「もう飴でもくれてやったらいいじゃないですか、贅沢抜かす奴じゃないでしょう。」
「白布さん、あいつのこと何気に見てるんですねっ。」
「勘違いするなよ工、誰かさんが兄貴になりきってなくて毎度この流れになるのが面倒なだけだ。別にあの妹を気にしてんじゃない。」
「賢二郎それツンデ、って睨まないデヨ。」
「お前らはいい加減にしなさいね。」
ため息をついて大平がタイミングよく話を終わらせる。そろそろ監督の鷲匠が何かの気配を漂わせていた。