第44章 ・義妹の反抗 その2
「危ない事にならないようにするのは当然だろう。」
「お前な、とーちゃんとかかーちゃんがガキの手ぇ繋いでやってるのと混ざってんぞ。首傾げんな違うのかって顔すんなお前の中で文緒は何ポジションなんだよ結局。」
「少々迷っている。大事な妹であるのは確かだが時折幼い子供に見える事がある。」
「若利君、嫁が抜けてる。」
「まだ嫁じゃない。毎回訂正がかなわんのだが。」
「そうだぞ天童、若利にも訂正入れなきゃなんない俺の手間が増えるだろが。」
「俺に訂正箇所があるのか。」
「おーありだっつのっ。」
瀬見は怒鳴り疲れてとうとうぜぇぜぇ言い出す。練習前からこれでは大変である。
「うん、とりあえずな」
とうとう大平が口を挟んだ。
「若利は早いとこ文緒さん縛り付けるのやめて謝った方がいいんじゃないか。あの抱っこのせいで他からおちょくられててもおかしくないし。」
「あ、それなんですけど、うちのクラスにも後で話が流れてきて実際文緒がおちょくられてました。」
五色の発言でやっぱりかと大平が呟く。
「一体文緒は何を言われた。」
義兄である若利は何も考えずに尋ね、これまた何も考えずに五色が答える。
「ロリ嫁、ちびっ子、幼稚園児、後は何だったかな。」
「どのみちろくでもないのは確かだな。」
呆れ果てた白布が呟き、五色はあ、思い出したと声を上げる。
「ロリコンの妹って言われて怒ってました。言った奴は顔面にノートぶつけられてました。」
聞いた瞬間山形と川西が吹き出し、瀬見がジトっとした目で若利を見つめる。
「ほれ、やっぱり誤解が広がってんじゃねーか。」
「文緒は15だ、大して歳は離れていない。」
「いや実際はそーだけどさ、見た目的な意味で。」
「不快な話だ。」
若利が呟いた瞬間、携帯電話が振動する音がする。
「俺だ。」
呟いて若利は自分の鞄から電話を取り出す。メールが来ていた。文緒からだ。何事かと思って開くとこうあった。
"待っていられませんのでやはり先に帰ります。帰ったらメールしますので。"
携帯電話を握る左手が無意識にプルプルと震える。コソッと後ろから人様の私信を覗き込んでいた野郎共がうわぁやべえとばかりにサササと若利から距離を取る。