第44章 ・義妹の反抗 その2
「と、とにかく私は妹です、妙な事を仰らないでくださいな。」
相手は面白がるだけであまり話を聞いていなかった。クスクス笑って相変わらずお嬢様だと言い、文緒が何か言う前に行ってしまう。
「もう、兄様のせいでますます変な事になっちやった。」
独りごちていたら
「俺のせいとはどういう事だ。」
上から聞き慣れた声が降ってきて文緒は飛び上がった。何ということだろうか、いつの間にやら義兄の若利が後ろに立っている。
「に、兄様。」
「何をやっている。行くぞ。」
「行くとは。」
尋ねる文緒、しかし若利はまともに答えない。文緒の手を引いてこっちだと勝手に連れて行こうとする。
「い、嫌ですっ。」
文緒は言って身をよじって抵抗するが勿論通じるはずもなく、そのまま若利は文緒を強制的に連れて行った。
「あんだけの事があったのに結局今日も待たせてんのかよっ。」
部室にて瀬見が着替えながら声を上げた。
「無論だ。」
対する若利は本気で何を当たり前の事をと思っている。
「何ドヤ顔でぬかしてんだこのヤロ、気は確かか。」
「勿論だが。」
「蹴り飛ばしてぇ。」
「まーまー英太クン、落ち着いて。」
「ただ文緒がいつになく聞き分けが悪いので戸惑っている。元々強情な所はあるが。」
この時その場にいたチームの連中の多くが戸惑ってたんだと思っていたが勿論若利は気づかない。
「いやあのな若利、薄々わかってきてるだろーけど文緒のいい子ちゃんレベルは普通じゃないから。普通の奴なら嫌がる事もあいつあんまり嫌だって言わないから。」
「つまり。」
「それが人前であそこまで嫌がったってんだがら相当だっつの。」
「俺が悪いのか。」
「少なくとも今回はそう思うぜ。」
「納得が行かない。」
若利は首を傾げる。