第42章 ・【外伝】イモウト探し
「チームの奴が保護しているそうだ。俺は行く。協力感謝する。」
お前はドラマに出てくる公職の人かと突っ込みたくなる物言いだが今は突っ込まないのが縁下である。
「俺も行きます。」
「お前は関係ないだろう。これ以上手を煩わせる訳にはいかない。」
「ああその、個人的に何となくなので気にしないでください。文緒さんは知らない仲じゃないし。」
「好きにしろ。」
ウシワカは呟いて駆け出す。縁下も慌てて後を追った。
ウシワカのハイペースは流石だった。後で考えたらよく自分はあの時ついていけたなと縁下は思う。ウシワカについていくとそこにはウシワカ程ではないが長身のイケメンに連れられた文緒がいた。
「文緒。」
「兄様っ、それにあれ、縁下さんも。」
「文緒さん、久しぶり。」
「ご無沙汰しております、縁下さん。でもどうして。」
「お前を探すのに協力してもらった。」
「ああ何て事。申し訳ありません、お手数をおかけしまして。」
「いや無事で良かったよ。」
縁下は心から安堵する。ふと見ればウシワカもふぅと息をついて安心した様子だ。そのウシワカはツカツカと文緒達に歩み寄る。
「ほれ、兄貴のお迎えだぞ。」
長身のイケメン—つまり瀬見—がそっと文緒を前に押しやり、文緒は義兄に駆け寄った。そこまでは良かったのだが
「ええええっ。」
「ちょっ若利、このバカやろっ。」
縁下は動揺し瀬見も叫ぶ。ウシワカはあろうことか駆け寄ってきた義妹をガバッと抱き上げてしまったのだ。その文緒の首から一瞬だが確かにIDタグみたいな形状のものが下がっているのを縁下は見た。
「に、兄様っ。」
当然義妹の方は声を上げる。
「こんのど天然馬鹿っ公衆の面前だぞっ、あ、いや、今んとこ俺らしかいないけど人が通ったらやべえからやめろっ。」
「確かに知らない人が見たらヤバイ絵面ですね。」
縁下は苦笑するしかない。身長190センチ近い巨躯の少年に対し実年齢より幼く見える少女、勘違いされる可能性は大だ。