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【ハイキュー】ウシワカイモウト

第39章 ・牛島兄妹、留守番をする 終


「岩泉はともかく前3人分は初耳だ。」
「そんなに嫌そうになさらずとも。いちいち報告していたら私がもちません。」
「どのみち今後取り扱いに注意してもらう。」
「兄様、私はワレモノですか。」
「似たようなものだ。」
「何て事。間違ってもワレモノ注意の札を貼るのはご勘弁くださいね。」
「今のはジョークという奴か。」
「そうです。」
「対応の仕方がわからない。」
「兄様に突っ込みを入れろとはまだ言えませんしね。」
「お前は。」
「兄様のボケに対応したい所ですがなかなか難しいです。」
「俺はボケではない。」
「それは置いておきまして。」
「新しい反応だ。」
「例のSNSでやり取りしている方がやってたのが面白くてつい。ご自分でWEBラジオの真似事をされているのを聞いたのですが。」

それを聞いた途端若利はムッとする。

「現実の友は少ないのにオンラインで余計な事を覚えてくるようだな。」

言って若利は文緒が目覚まし用に持ち込んで枕元に置いていた例の携帯型映像機器を文緒の手の届きにくい所に追いやる。

「あっ、私の端末。」
「俺が起こす。これは必要ないだろう。」
「夜中に見たりしません。」
「普段はいいが今はここにこれがあるのが何となく気に入らない。」
「まさか兄様がそのような事を仰るなんて。それに相手の方は女性ですよ。」
「知らない。」

若利は呟いて緩く抗議する義妹を黙らせるように唇を重ねる。

「今は俺がいる。必要がない。」

思うままに呟く言葉はどれだけ文緒に突き刺さっている事か。

「はい、兄様。」

とろんとし始めた目で義妹は微笑んだ。

「それでは抱っこしててください。私がどこにも行かないように。」
「ああ。」

若利は呟いて義妹の望むとおりにしてやった。むしろ自分がそうしたかったのかもしれない。

そうして兄妹は2人で過ごす最後の夜をやはり抱き合って眠った、そうしておけばお互いずっと離れる事はないかのように。
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