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【ハイキュー】ウシワカイモウト

第38章 ・牛島兄妹、留守番をする その6


若干圧をかけるように言う岩泉に文緒は反射的にはっはいっ、と返事をした。

「あちらです。」
「じゃあ途中までだけど持ってやるわ。」
「でも。」
「うるせえぞ。」

呟く岩泉に文緒は誰かを思い出すと思う。ほどなく文緒の世話を焼く時の瀬見である事に気づいて少し胸が痛んだ。そんな事は知らない岩泉はおら貸せと文緒の利き手でない方から荷物をひったくる。

「ほれ、行くぞ。」
「はい。あの、その、ありがとうございます。」
「別に。たまたまだ。」

岩泉はぶっきらぼうに言ってそっぽを向いた。


青葉城西男子バレー部の副主将と白鳥沢のウシワカの義妹が一緒に歩いている。滅多に見られない光景だろう。

「しかしまぁなんつうか、」

歩きながら岩泉が呟く。

「及川が今いなくてよかったわ。」
「確かに扱いかねる所がある方ですけど、どうしてでしょう。」
「あいつがいる時にお前が今ウシワカと2人きりで留守番してますとか言ってみろ、面倒くさい事になるのが目に見えてる。」
「つまり。」
「ウシワカと2人きりて何それ不潔とか妹じゃなくて嫁ですかそうですかとか絶対言う。」
「岩泉さんの手前で申し訳ありませんが、考えただけで大変煩わしいです。」
「申し訳なくねぇよ、事実だ。」
「それで思い出したのですが」
「どうした。」
「この所学校でもバレー部の牛島の嫁って勝手に言われてます。」

岩泉はブフォッと吹き出した。

「何でんな事になった。」
「そもそもは兄のチームの人がまるっきり夫婦だとか何とか言ってついでに兄に向かって嫁にするのかとよくわからないことを聞いた人がいて」

それが同じクラスの奴であることは流石に言えない。

「まずい事に場所が食堂だったので関係ない方にも聞こえた結果のようです。憶測も混じってますが他に心当たりもなく。」

岩泉は返事をしない、見れば口元を押さえてしかも顔が赤かった。

「あの、岩泉さん。」
「あのウシワカが、チームに弄られてんのか。」
「どうもそのようです。」

答えながらも文緒はまた岩泉の肩が震えているのに気づく。

「ま、まぁなんつーか、お前もその、とんだとばっちりだな。」
「まったくです。兄も呑気なものでそこまで気が回らないし言わせておけば良いの一点張りで。」
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