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【ハイキュー】ウシワカイモウト

第38章 ・牛島兄妹、留守番をする その6


そんなこんなで学校でも牛島若利の嫁と勝手に認識されてしまった文緒であるが、まだ義母も義祖母も帰ってきていない以上家の事はやらざるを得ない。

その日、文緒は学校の帰りに夕飯の買い物をしていた。白鳥沢の制服は正直人目につくのはいくら文緒でもわかっていたが家に戻って着替えてからまた外に出るのは面倒である。悪いことする訳じゃないしと開き直ってポテポテと売り場を歩く。案の定、あれあの制服といった様子で見てくる買い物客が居たが気づかなかったふりをして必要な買い物を済ませた。

「ちょっと重いけど、まぁ何とかなるかな。」

独りごちながら文緒は店を出てまたポテポテと歩き出す。利き手でない方に握られた買い物袋はしょっちゅう握り直されてはガサガサ音を立てていた。


しばらく歩いていた時の事である。後ろからからふいに声をかけられた。

「おい、お前。」

聞き覚えのある声におやと思い文緒は足を止めて振り向く。

「やっぱりウシワカ妹か。」

青葉城西の岩泉だ。この時間に制服でいるという事は青葉城西は部活が休みだったのか。

「岩泉さん、こんにちは。」
「よう。大荷物だな、買いもんか。」
「はい、夕飯を作るのに色々足りなくなってて。」
「何だお前、いつも自炊してんのか。」
「いいえ、今家の者がいなくて私と兄2人だけなんです。」

文緒としては事実を言っただけだが岩泉は固まる。

「2人きり、ウシワカと。」
「はい。」

岩泉は再び固まり、数秒後にため息をついた。

「お前な、知らねぇ仲じゃないっつっても野郎の前で義理の兄貴と2人きりですとか堂々と喋んなよ。」

何か心配されているらしいことはわかるが具体的に何なのかわからない文緒は首を傾げる。

「相変わらず天然なのな。」
「それは兄様です。」
「頑固なのも相変わらずか。」
「兄にも意外と強情だと言われました。」
「そればっかりは賛成だわ。」
「納得いきません。」
「兄貴そっくりだな。」
「そうでしょうか。」

岩泉はため息をついてそれよりお前、と話を変えた。

「さっきから重そうじゃねぇか。」

どうやら利き手でない方で持っていた荷物を何度も持ち直しているのが目についたらしい。

「いえそんな」
「どっちへ帰るんだ。」
「え。」
「とっとと言え。」
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