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【ハイキュー】ウシワカイモウト

第36章 ・牛島兄妹、留守番をする その4


一瞬の沈黙、若利は勿論知らなかったが文緒はキョトンとした顔をしていた。部屋に入るのはいつもの事なのに何を逡巡しているのだろうかと若利は素で思う。

「どうした。」
「寝間着姿ですが良いのですか。」
「仕方がないだろう。」

それでも少し戸惑ったように扉が開けられ、文緒がそっと入ってくる。その姿を見て若利は一瞬目の前の相手が高校生である事を忘れそうになった。

「随分と幼く見えるな。」

思ったままを言う若利の言動は時に人にひどく突き刺さる。この時文緒は元々気にしている事を義兄から言われてガーンとなり、涙目になるレベルだったが当然若利は気づかない。ポテポテと歩いてきていつものように一旦隣に座り込んだ義妹を早速膝に乗せてみる。文緒が着ている寝間着が可愛らしい白くまと茶くまのプリント柄だったおかげでやはり幼い娘と父親みたいな図に見えたとしても笑ってはいけない。

「兄様は最近こうされるのがお好きなのですか。」

文緒がポツリと聞いてきた。

「何となくだが落ち着く。」
「私はぬいぐるみですか。」
「瀬見と同じ事を言うのだな。」
「瀬見さんにも言われたのですか。」
「気になったらしい。」
「そうでしょうね。」

文緒は呟き、しかし嫌がる風はなくキュッと若利の腕を掴む。

「私も落ち着きます、兄様。」
「そうか。」
「兄様に守られている気がします。」
「いつでも守るつもりでいる。」
「嬉しいです。」
「お前の事だ、守られてばかりではいられないとも考えているだろうが。」
「お察しのとおりです。」

この時文緒がよくわかったな珍しいと思っていた事を若利は知らない。

「ただ、抱え込むのは考えものだ。」

若利は言った。いつも懸念している事だ。どうにもこの義妹はまだ何となく抱え込む節がある、ような気がする。瀬見からも指摘された事があった。
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