第24章 ・烏と再会
「すみません、お待たせしました。って、あれ。」
さっき会った縁下である。両手には多分探していた2年仲間とやらだろう、成田とは別系統の坊主頭とひょっとしたら日向より小柄かもしれないツンツン頭の少年を引きずっている。
「文緒さん、まだいたの。」
「縁下さん、先程はどうも。それに先日私の落し物の事でお手数をおかけしたようですみません。ありがとうございます。」
「ああ、気にしないで。それよりやっぱり大変なことになっちゃったか。」
「おおいっ縁下っ、そこの女子は誰だっ。」
「彼女か力っ。」
「お前らちょっと黙って。」
「田中さん、ノヤっさん、この人あのウシワカの妹さんです。」
「ぬわにぃぃぃぃぃぃっ、噂のウシワカのだとおおおおっ。」
「龍見ろっ、思い切りお嬢様だぞお嬢様っ。美人じゃねーけど何かときめくっ。」
「くそっ、ウシワカ羨ましいっ。」
「ええっ、あのっ、そのっ。」
「馬鹿お前らっ、天然お嬢様相手にやめろっ。」
「縁下さんにまで言われたっ。」
「ごめん。でも違うつもりだったことにも驚くけど。」
「何て事。」
「で、文緒さんは肝心の用はすませれたのかな。」
文緒はハッとした。
「あ、そう、そうだった。日向、落し物の件ありがとう。兄様に届けてくれて凄く嬉しかった。あれ気に入ってたから。」
「ホントにっ、良かったー。あ、影山も一緒に来たんだぜ。」
「そうだったんだ、影山君もありがとう。」
「お、おう。」
肝心の用がやっと済んだ、これ以上他所に手間をかけさせてはいけない。
「あ、では私はこれで。お時間頂いてすみません、失礼します。」
「ああ、気をつけてな。」
大地と呼ばれていた少年が言う。やはり何となく父親くさい。
「文緒さん、またねっ。」
「じゃあな。」
「日向、影山君、バイバイ。」
文緒は慌ててタッタッと走り出す。一度アスファルトが熱で盛り上がっている所につまづきかけたが幸い激突は避けられた。
文緒は知らなかったが早速烏野では話題に挙がっていた。
「えーっ、噂のウシワカさんの妹さんに会ったんですかっ。」
1年マネージャーの谷地が言う。