第24章 ・烏と再会

「えと文緒さんだっけ、お兄さんは結局何でまた。」

利発そうな坊主頭が呟いた。

「よくわかりませんが及川さん達と会った話をすると機嫌が悪くなって結果そうなってました。」
「過保護っ。」
「こら、木下っ。」
「スンマセン、大地さん。成田、久々に怒られちったわ。」
「何やってんだよ。」

呆れたように言う成田と呼ばれた坊主頭、文緒は項垂(うなだ)れる。

「また他校の人に過保護って言われた。」
「愛されてるんだな。」
「そうみたいです。」

言った瞬間成田が苦笑する。尋ねる間もなく今度は日向だ。

「文緒さん、文緒さん。」
「どうしたの、日向。」
「縁下さんも言ってたよ、ウシワカ、いや文緒さんのにーちゃんは文緒さんが大好きだって。」

日向の爆弾発言により文緒は勿論烏野勢全員が硬直した。

「何であの、縁下さんがそんな事わかるの。確かに察し良さそうな人だったけど。」
「こないだ落し物届けた時ついてってもらってそん時言ってた。」
「何てこと、縁下さんも関わってたって知ってたらさっき併せてお礼を言ったのに。」
「そっちなのか。」

木下がボソリと突っ込む。

「というか兄様が、私の事、えと。」
「俺さー、あの人にさんざ言われたんだ、文緒さんの事に踏み入るなとかさ。でも縁下さんは妹に手え出すなって言ってるようにしか聞こえないって。」

文緒は絶句した。

「日向の天然は凶器だよね。」

絶句する文緒の後ろで月島が呟いた。

「ててか大丈夫なのかな、文緒さん息止まってない。」
「そういう山口の方が息止まりそうだけど。」

月島達のコメントなぞ文緒は聞こえていない、とんでもない事を聞いてしまったと混乱している。

「あれ、そうなるとうちの兄様ってつまり」

呟く文緒に月島がとどめを刺してきた。

「超シスコン。他に何なの。」

文緒は倒れたい気分になった。

「面白いよねえ、世界ユースのあのウシワカがまさかのシスコンって。」
「こら月島っやめろっ。」
「もしかして私、大変な事になってる。」
「頑張って。」

成田に慰められてはどうしようもない。そこへズルズルという音及びイデデデデと叫ぶ声が割って入る。