第24章 ・烏と再会
「私も会いたかったなー。」
「また会えるよきっと。いい人だから谷地さんなら仲良くなれる。」
「そうかな。」
「だけど縁下も言うくらいのお嬢様がよくこんな真逆のとこへ来れたね。1人で帰れるのかな。」
心配そうに言うのは3年マネージャーの清水、そこへ菅原が言っても仕方ないってと言う。
「つかさ家帰ってからが大変かもな。何かウシワカに溺愛されてるっぽいぞ。愛でられたりしてー。」
他校にフラグを立てられてはどうしようもない。実際その夜、文緒は帰ってきた若利に事の次第を話した途端にしばらくの間離してもらえなかった。
「あまりにも奔放な真似をするようなら」
文緒を抱きしめたまま若利は唸るように言った。
「俺が練習を終えるまで留め置く。」
「兄様、ですからそれだけはお許しを。それに奔放ってそんな。」
「ならば少しは控えてもらおう。」
「心配が過ぎます兄様、しょっちゅう参りませんから。」
「本当か。」
「本当です。」
文緒はこれは大変だと思う。
「兄様、仮にも若利兄様の妹が受けた恩に対して何もしない奴で良いのでしょうか。」
文緒にしては頑張った。若利はそれは確かにと呟く。
「ではそろそろ」
若利の腕から抜け出そうとする文緒、しかし義兄はビクともしない。
「兄様。」
怪訝に思う文緒に若利は言った。
「もう少しこうさせてほしい。」
「はい。」
結局折れて頷いてしまう文緒だった。
次章に続く