第24章 ・烏と再会
「ごめんね、ツッキー口下手だから。」
「山口うるさい。」
「ごめん、ツッキー。」
「こらこらお前ら、他校の女子困らせない。」
今度は泣きぼくろが特徴的な縁下とは別の癒やし系少年が出てくる。文緒はそろそろ大変な事になってきたかもと思った。
「ホントごめんよ、うちの連中が。」
「いえ、私こそ。」
「でもまさか噂のウシワカの妹さんに逢えるとは思わなかったなぁ。」
更には月島に迫るでかさの少し老けて見える少年が話に参加する。
「有名人の身内って大変そうだけど君大丈夫。」
「お気遣いありがとうございます。幸い家で冷遇されている訳ではないので。」
「すっげー、流石ウシワカの妹。初対面で旭怖がってない。」
「スガ、あのなぁ。」
「それよりそのウシワカの妹さんがこんなとこまで一人で来てる方が心配なんだが。こっちは白鳥沢方面と真逆だぞ。」
まるっきり父親みたいなノリで言ったのは短髪黒髪の少年である。
「来た道憶えてますので戻れます。それに帰る時には家にも連絡入れますので。」
「連絡、入れるの。」
ポツリというのは利発そうな坊主頭の少年、更にその横の色素の薄い短髪少年までもが話に参加した。
「徹底してんなー。」
「そうでもありません、つい先日まで兄にも入れなくてはいけませんでした。」
「親だけで充分じゃね。」
「私もそう思うのですが何故か兄がそうしろと言ってなかなか聞きませんでした。やっと最近自分には入れなくて良いと言ってくれて。」
「ウシワカが。」
スガと呼ばれた泣きぼくろが尋ねる。
「はい。」
「文緒さん、それもしかして俺のせい。」
「日向のってよりきっかけは青城の人達。及川さんと岩泉さん。」
「大王様っ。」
「日向、大王様って。」
「主将の方、影山の先輩。」
「何で大王様。」
「王様の師匠だから。」
「日向、ぶっ飛ばすっ。」
「ギャアアア。」
「こらお前らやめろって。文緒さんビビってんだろー。」
日向に礼を言いに来ただけなのに肝心の用がまだ切り出せないわどんどんネタが広がるわで文緒は内心困惑する。しかも事態は止まらない。