第15章 月島くん。
こっち、来て。
そう言われて、腕を引かれる。
月島くんは、人通りの多い方向へ傘を倒して通行人の視界を遮った。
そして、重なる唇。
柔らかい。
気もちいい………
いつも意地悪な彼の行動とは裏腹な、優しく包み込まれるようなキスに、体が溶け出してしまいそうになる。
もっと触れていたい。
そう思ったとき、それを見抜いたかのように唇は離れていく。
そのあとすぐ私の顔を見た彼は、ふっと笑った。
「何その物欲しそうな顔。」
「え……!!」
「もっとしてほしかったんでしょ?」
「も、もーやめてよー!!」
胸の鼓動が早鐘を打ち続けて止まらない。
こうやって私は、彼に踊らされ続けるんだろう。
でもそれを、快感に感じてしまう自分がいる。
自分でも気付かないうちに、私は彼の虜になっていた。
慌てた私を満足そうに眺めてから、月島くんは言う。
「いい子にしてたら、またそのうちしてあげるよ。」
「………………」