第14章 大地さん。
試合終了の笛の音は、残酷だ。
その音に、いくつもの想いが絶たれ、青春が散る。
私達の春が終わった瞬間も、それは無情に鳴り響いた。
私は、私達に終わりを告げたあの音をずっと忘れることはないだろう。
何にでも、終わりの時は必ず来る。
それは理解していたし、覚悟していた。
けれど、頂きの景色を信じていた私達にとって、この幕引きは耐え難いものだった。
敗北に浸る余裕もないまま、私達はコートを去ることになった。
次の試合が始まるため、早くここを明け渡さなくてはならない。
体育館を出たあと、これから交わされるであろう最後のやり取りのことを考えると、また視界が滲んできてしまう。
荷物を抱えて顔を上げた時だった。
大地さんの姿が視界に入る。
大地さんは、コートの方を向いたまま呆然と立ち尽くしていた。
それはまるで、最後の別れを惜しむようで。
その姿を見た私は、こらえきれずに涙が溢れてしまった。
慌てて乱暴にジャージの袖で拭い、彼の元へ向かう。