第11章 菅原先輩。
私は校舎へと走りだす。
どこを探したらいいのかなんて分からないし、そもそも、もう帰っていて学校には居ないかもしれない。
けど、何もせずにはいられなかった。
体育館から校舎へと続く道を辿って扉を開けた時、こちらに歩いてくる人の姿が目に飛び込んできた。
「菅原先輩…!」
「菜月!」
先輩は驚いた様子だった。
「部活どうしたんだよ。まだ終わってないよな?」
「あの…私、先輩を探してて…」
「俺を?」
先輩は久しぶりに私と帰ろうと、あと少しで終わる部活の様子を見に来たのだそうだ。
いつもと変わらない先輩の態度に、私はどうしても清水先輩の告白のことが気にかかる。
「清水先輩は、どうしたんですか…?」
「え?清水?知らないけど…。今日は会ってないよ?」
予想外の返答に私は驚いた。
どういうことだろう。
もしかしてまだ会えていなくて気持ちを伝えられていないということだろうか。