第9章 代表決定戦
恐る恐る顔を上げると、目の前には菅原先輩の姿があった。
どうやら先輩が私にぶつかりそうだったボールを弾いてくれたらしい。
先輩は、すぐに振り返って心配そうに私の顔を覗き込んできた。
「大丈夫か?」
「あ、はい……ごめんなさい。青城の人にボール取ってくださいって言われて、そっちに気が行っちゃって。」
「……………」
先輩は、先程私にボールを取ってくれと声をかけてきた人のほうを見つめている。
私が取り損ねたボールは、もう田中先輩が例の人に返してくれたようだ。
「あいつさ。あれ、わざとだよ。」
「え?」
「菜月にちょっかい出したかったんだろ。あー良かった、未然に防げて。」
そう言って、先輩は笑う。
「菜月がピンチの時に助けに来るのは、影山だけじゃないんだからな?」
私の髪をくしゃっとしてから、先輩はアップに戻っていった。
菅原先輩も、さっきまでは結構険しい表情をしていたけれど、今の様子ならきっと大丈夫だ。
そう思い、私は少し安心した。