第9章 代表決定戦
大地さんの代わりに、コートには縁下先輩が入っていた。
後を任された重圧は相当なものだったろうに、今コート内で奮闘する縁下先輩は、いつもよりずっと頼もしく見えた。
大地さんはプレーすることも許可がおりていたので、すぐにでもコートに向かうのかと思っていたけど、皆の様子を見て安心したのか、そのままそこを動かなかった。
そして、試合終了のホイッスルが鳴る。
喜びを爆発させる皆を遠目に見ながら、安心したような笑顔で大地さんは口を開く。
「……やっぱ強いな、あいつらは。」
「はい!!」
大地さんの言葉に、思わず笑顔がこぼれる。
「ほら、早く行きましょう!みんな心配してるんですから!」
「あ、ああ…」
彼の背中をぐいぐい押して皆の方へ誘導する。
すると、大地さんの姿に気づいた皆が瞳を輝かせて駆け寄ってきた。
「大地さーん!!」
「大地!!」
「みんな、すまん!心配かけたな。」
皆は代わる代わる「大丈夫?」と大地さんに詰め寄るけど、大地さんは
「お前らのほうが疲れてるんだから、ちゃんと体、休めろよ。」
なんて言っていて。
もうキャプテンの顔に戻っている。
これが最後にならなくて良かった。
大地さんに、「次」があって本当に良かった。
そう改めて思うと目頭が熱くなってきて、私は気付かれないように、慌ててそれを拭った。