第8章 春への道
「……何で?」
月島くんが、どうでも良さそうな感じで問いかけてくる。
「だってさ。自分がこれから付き合う人が前の彼女のことなんて綺麗な思い出として保存してたら嫌だもん。やきもち妬くじゃん。」
「今は自分のことしか見ていないとしても?」
「そうだよ!だから潔く物も全部捨てちゃうとか、私は良いと思うなあ。」
「ふーん……」
月島くんが何とも言えない視線で私のことを見つめてくる。
「な、何?」
「案外独占欲強いんだね、菜月。」
「え……そ、そうかな。これくらい普通じゃないのかな。」
月島くんに冷静にそう指摘されると何だか恥ずかしくなってくる。