第2章 新生活
結局、その日影山くんと月島くんがもめることはもうなくて、いたって平穏に午後練は終了した。
そして次の日。
朝練の片付けを終え、皆それぞれの教室へ向かおうとしているところで、月島くんに声をかけられた。
「ねえ、あのさ。」
「へ、私?」
月島くんの方に向き直ると、彼は肩にかけたバッグの中から何かを取り出して渡してきた。
CD…?
「昨日、洋楽聴いてみたいって言ってたでしょ。僕の好きなグループのおすすめ曲で1枚作ってみた。」
「ええー!ほんとに!あ、ありがとうー!!」
月島くんから薄いCDのケースを受け取る。
月島くんがこんなことしてくれるなんて、何だか感動…
「ごめんね、大変だったでしょ?」
「…別に。ただドラッグ&ドロップしただけだよ。余計なお世話だったら捨てていいから。」
「捨てるわけ無いじゃん!帰ったらすぐ聴いてみるね!」
「…ん、それじゃ。」
月島くんは山口くんを引き連れて、先に教室へと向かう。
「菜月ー!月島にCDもらったの?」
駆け寄ってきた日向くんがもらったばかりのCDを覗き込む。
…と同時に表情を固くした。
「なにこれ…英語ばっかりなんだけど…」
「洋楽が好きなんだってよ?私洋楽ほとんど聴いたことないから楽しみなんだー。」
「すごいな菜月ー。俺、英語の曲なんて頼まれても聴きたくないよ。」
日向くんと笑い合いながら教室へと向かう。
曲が早く聴いてみたくて、その日は家に帰るのがとても楽しみになった。