第2章 新生活
新チームが発足して、約2週間。
何もかもが目新しくて新鮮な新生活への興奮も、未だ消えてはいなかった。
朝練に向かうため、今日も私は早い時間から電車に揺られている。
駅に着き、改札から外に出れば、冷たい雨がアスファルトを濡らしていた。
思ったより早く降ってきちゃったな。
そう考えながら、屋根の下で傘を開く。
今日は朝の天気予報で、必ず傘をお持ちくださいと言っていた。
歩き出そうとすると、隣に人の気配を感じ、そちらを見れば影山くんが立っていた。
「よお。」
「あ、おはよう!雨、降って来ちゃったね。」
「そうだな。」
ちらりと影山くんの傘の有無を確認するけど、その両手は制服のポケットに突っ込まれている。
カバンに折りたたみ傘があるのかな。
「じゃあ、また後で。」
そう言って、影山くんは傘もささず、そのまま走りだそうとする。
「え!え!ま、待って!」
思わず、影山くんの腕を引く。
すると、普段の冷静な表情からは考えられないくらい影山くんは驚いていた。
「なんだよ、どうした?」
「どうしたじゃないよー!傘なしで学校まで走って行ったりしたら風邪ひいちゃう。」
「別に…このくらい平気だろ。」
影山くんは、しとしとと降る雨に視線を送った。
「もし風邪ひいたら練習休まなきゃいけないかもよ。」
「……風邪ぐらいで休んでられるかよ。」
「うーん…影山くんの意思がどうでも大地さんに練習参加させてもらえないんじゃないかな。」
「う……」