第8章 春への道
部活で毎日忙しく過ごしながらも、学校行事の方も待ってはくれない。
烏野では体育祭のシーズンを迎えていた。
こんなことを言うとまた単純だとか子供っぽいとか言われそうだけど、私は昔から体育祭の雰囲気が大好きだ。
あの、思わず走りだしてしまいたくなるような定番の曲だったり、スターターピストルの音だったり。
今では流石にやらないけれど、小学生の頃などは運動会の前日は必ずてるてる坊主を作るような子供だった。
自分は別に活躍できるような運動神経を持ち合わせているわけじゃないけれど、行事をその都度楽しめる性格なのはとても得をしているような気がする。
本番の今日はすっきりと晴れ、少しだけ秋を感じるようになった風が吹く、まさに体育祭日和と言った感じだ。
皆が様々な競技で奮闘するのを大きな声を出して応援するのが好きな私はわくわくする気持ちを抑えられない。
特に、部活対抗リレー。
私は出場しないけど、皆の走りをとても楽しみにしていた。
………のに。
部活対抗リレーの直前。
私はとんでもない状況に陥り、初めて体育祭から逃げ出したくなった。