第1章 出会い
午後練の間、旭さんはひたすら真剣に練習する皆を眺めていた。
その瞳には、闘志が戻ってきているような気がするのは、私の願望なんだろうか。
その日の練習も終わりに近付き、片付けの準備を始めようかと思っていると、旭さんに話しかけられた。
「水沢さん。 」
「はい!」
「今日は連れて来てくれてありがとう。」
「いやそんな…」
「強引に連れだしてもらわなけりゃ、俺…永遠にバレー部復帰できなかったと思う。」
「旭さん…」
「何か、すごい1年見てたらこのままでいいのか俺って思ったよ。」
「じゃあ…」
旭さんは力強く頷いた。
「エースの責任とか重圧とか…怖いことはたくさんあるけど、それ以上にまたバレーがしたい。だから、これからよろしくね。」
そう言って右手を差し出す旭さん。
その手を両手でぎゅっと握って頷く。
「はい、よろしくお願いします!!!」
練習終了前の集合の際に旭さん本人から明日から復帰する旨が皆に伝えられた。
旭さんの復帰が確実になり、皆テンションが上がる。
「これで役者は揃ったってとこだな。俺達はこれから全国を目指していく。この新チームで落ちた強豪、飛べないカラスなんて蔑称、忘れさせてやろうぜ!!」
大地さんの言葉に、皆がおおー!!と掛け声を合わせる。
私達の、全国へ向けた戦いの日々が今日ここに始まった。