第7章 東京遠征
合宿4日目。
休憩中の今は、皆で父兄の皆さんからの差し入れのスイカをいただいている。
皆はスイカを物凄い勢いで消費していった。
私もそれに負けじとスイカを頬張る。
途中で私の様子に気付いた月島くんに、
「そこで張り合う必要ないんじゃない。」
と呆れ気味に言われたけど、このスイカが本当に美味しいんだから仕方ない。
月島くんは、木兎さんからのありがたいお話を聞いて他校の人たちと練習してから何か思うところがあったのか、少し表情が変わったように思う。
昨日も通常の練習が終わってから第三体育館での練習に合流していたようだし、確実に彼を変えるきっかけが木兎さんの言葉にはあったのだ。
良かったなあーと思いながら、木陰でスイカを咀嚼していると、近くでガサガサと何かが動く音がした。
「?!!」
驚いて音の方向を見ると、そこにはつぶらな瞳の可愛らしいポメラニアンの姿があった。
「え……迷子…?!」
そう思った時にはもう集合の合図がかかってしまい、私はその場を離れざるを得なかった。
後ろ髪を引かれる思いで、体育館へと戻る。
きっとすぐ、飼い主さんが見つけてくれるよね……?