第6章 再起
何だろう。
そう思った瞬間にはもう、引き寄せられて唇が重なっていた。
突然のことで思考が置いてきぼりになり、どのくらいそうされていたのかは分からなかった。
唇が離れる間際、舌で唇をなぞられて、思わず震えた。
「ひゃっ…」
「…ほんとに隙だらけだよね。ごちそうさま。じゃあ、お先です。」
あくまで冷静に。
何事もなかったかのように。
そういうところはいつもと変わらず、月島くんは事を終えるとさっさと帰って行ってしまった。
「あ……ま、待ってよツッキー!!」
山口くんが慌てて月島くんを追いかけて部室を出て行った。
私はつい、ぺたんと座り込んでしまう。
何、今の………
キスされた。
しかも、唇なめられた…
この前、部屋に行った時は抱きしめる以上のことはされなかったのに。
皆の前で見せつけるようにするのがいかにも月島くんらしいというか…。
ぼーっとしていると、影山くんがへたりこんでいる私を押し倒さんばかりの勢いでこちらにやってきた。
「上書きしてやる…!!!こっち向けよ!」
「や、ちょっと待って…!!」
「落ち着け影山!!」
「無理です。あいついっぺん殴ってやらなきゃ気がすまねえ!!!」
大地さんの言葉にも耳をかさない影山くんは、他の皆の協力により私から引き剥がされた。
その後も、月島くんの突然の行為のせいで部室は大混乱が続いた。
私の心の内も、もちろん大混乱だ。
さっき舐められた瞬間に感じた体の中心が疼くような感覚に、私は動揺していた。
明日からの部活で、また影山くんと月島くんの関係が悪くならなければいいなと思う。
私はへたりこんだまま、深く深く息を吐いた。