• テキストサイズ

【HQ】春が始まる。(烏野逆ハー)

第5章 IH予選




及川さんの冷たい視線が影山くんを刺す。



二人の間でバチバチと火花が散っているように見えた。



「勝利も菜月ちゃんも、両方この及川さんが奪ってあげよう。」



「なっ…!!」



「お前はセッターとして一番大切なことが分かってない。ついでに、女の子の扱い方もね。そんなやつには絶対負けないよ。」



明らかに動揺した影山くんに、大地さんが声をかける。



「相手にするな影山。動揺したら相手の思う壺だぞ。」



「……すみません。」



影山くんのことが心配で、思わず彼を見つめ続けていたら、及川さんにふいに名前を呼ばれた。



「ねえ、菜月ちゃん。」



「は、はい。」



「烏野の君が、思わずこっちを応援したくなるようなプレーを約束するよ。だからさ、ちゃーんと俺を見ててよね。」



その言葉に、呆気に取られる。



及川さんは影山くんの様子を見て満足したのか、もう一度微笑んでから私達を追い抜かして先を行く。



「楽しみにしてるよ、飛雄ちゃん。」



最後にそう言い残して。





及川さんの挑発は、影山くんに火をつけるには十分だった。



「負けるかよ…絶対に負けねえ!!」



さすが、元先輩。
影山くんのことをよく分かっている。



完全に挑発に乗ってしまった様子の影山くんを見て、私は先程までより更に心配になってしまった。



でも、もう声をかけられるような状態でもない。



試合が始まる前までに、いつもの冷静な影山くんに戻ってくれますように。



そう願いながら、私は影山くんの背中を見つめた。


/ 767ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp