第4章 変化
そう言って、影山くんがまた少し私に近付く。
やばい。
本能がそう叫んだ。
今までの経験上、影山くんがこの切なそうな表情をしているときは、自分の思うままに私に触れようとしてくるときだ。
今、影山くんの腕に捕まったら私、心地良さからきっと逃げられない。
そのまま流されてしまいそうだ。
せっかく想いを伝えてくれたのに、そういう曖昧なものに流されたくはなかった。
きちんと考えて答えを出したい。
「か、影山くん、あの…」
迫ってくる影山くんから逃れようと、座ったまま後ろへ体をずらそうとしたらうまくいかず、そのままマットに仰向けに寝転んでしまった。
影山くんは、そんな私の体に覆いかぶさって来る。
いよいよ、冷静ではいられなくなった。
「ちょ、ちょっと待って影山くん、私…」
大きな声を出してスイッチが入った影山くんを止めようとしたところで、いきなり倉庫の扉が開けられる気配があった。
久しぶりの直接的な光に、目がやられてしまう。
「菜月…!!」
倉庫の扉を開けてくれた人物を、姿よりも先にその声で誰なのか確認した。