第4章 変化
一気に肩の力が抜ける。
「大丈夫か?」
そう声をかけ、菅原先輩が優しい笑顔を向けてくれた。
それだけで、何だかものすごく心が落ち着いて泣きそうになってしまう。
「あいつらが凄んでくれたから、もうよっぽどの事がなければ大丈夫なんじゃないかな。」
「はい…」
「だから、そんな顔するなよ!解決して良かったな。」
頭にポン、と優しい感触。
相手チームの人からは、菅原先輩と私は本当に彼氏と彼女に見えているかもしれない。
私の頭から手を離したところで、菅原先輩がまた口を開いた。
「俺さ…菜月が俺のことであんなに怒ってくれて、嬉しかったよ。ありがとな。」
「あ…」
「スガさーん!!何すかさっきの名演技は!超かっちょ良かったっすよー!!」
「やめろよ西谷ー…恥ずかしいだろ!」
西谷先輩にからかわれて、菅原先輩は少し顔を赤くする。
でも、西谷先輩の言う通り、さっきの菅原先輩は本当にかっこよかった。
思わず見とれてしまうくらい。
力で対抗できるだけが、男の人のかっこよさじゃない。
それを私は、今日の菅原先輩の行動で知ることとなった。