第4章 変化
改札前に、彼を見つける。
思わず笑顔がこぼれた。
ケンカしたわけではないけれど、ここのところ気まずい思いをずっと抱えていたのでそれがすっきりなくなったのが本当に嬉しかった。
関係が修復するときは、その相手と前よりぐっと近付いた気持ちになるのは何故だろう。
「おはよう!」
影山くんは、私のカバンで揺れるバリボちゃんに気付いたようだ。ほんの少し、笑ってくれる。
「これ、ありがとね。すごく嬉しかったよ。大事にする。」
「…別に。行くぞ。」
顔を少し赤らめて、また先を歩き始める影山くん。
素直じゃない彼の背中を数歩遅れて追いかけることに慣れてきたと感じるのは、きっと気のせいじゃない。
彼の後を歩きながら思う。
気まずさはなくなったものの、影山くんのことをただの部活仲間として見ることは最早できなくなっていた。
キスもして、ハグもした相手だ。
どうしても意識してしまう。
ただ、影山くんは、自分の気持ちがまだよくわからないと言ったけど、それは私も同じだった。
昨日感じたドキドキは、彼に対するものなのか、それともそういう行為に対するものなのか。
高校に入ってからドキドキしっぱなしの私は、自分の感覚を信用できなくなっていた。
そんな中、また私の心を乱す事件が起こる。