第5章 戦いの舞台へ
その後、のんびり湖まで歩いた。
結構遠かったけど、話しながらだからあっという間。やっぱ久々に会うとあるね、話すこと。二人で丸太みたいな柵によっかかって、湖を眺めながらまた話す。
「あのへん紅葉してるね」
「ホントだ。もう秋だなー…」
なんとなく湖の中覗き込むように見てたら、多香子がクスって笑った。
「釣りの方がよかったんじゃない?」
「あ~、ね~…。しばらく行ってねぇな…」
彼女にも釣り教えて、何回か一緒に行った。まだまだ初心者って感じだけど、それなりに楽しそうだった。ていうか、パシッパシッてテキパキ竿振ってるおいらがやたら機敏なのが面白いんだって(笑)。
「ね。まだ時間早いし、これから釣り行ってもいいよ?今日は風もそんなにないし、天気もいいし」
「…」
確かに、絶好の釣り日和。一応それも考えたんだけどね。今日は海の状態も良好って、船長からもメールきてたし。
「ね」
「んー…。や、今日はいいよ」
「どして?」
「なんか…もったいないじゃん?せっかく。…ねえ?」
釣りもしたいけど、俺二つのこと一緒にできねえし。どっちかに集中ってなったら…今日は多香子でしょ、やっぱり。
「…そう?ふふ。なんか嬉しい♪」
「うん」
そんな、そこまで嬉しそうな顔されると、ちょっとハズカシイ。でも、おいらも嬉しい♪
「あ。ねえ、ボート乗らない?」
「え?」
「気分だけでも」
「…釣り気分?」
「そ♪ね、乗ろう!」
「…」
気を遣ってくれている(笑)。
俺、そんな釣り行きたそう?…まあ、行きたいけど。ていうか、今は今で十分楽しいよ?デート、久々だし。しかもこんな、堂々とまっ昼間に。ある意味、こっちのがスリリングで楽しいかも(笑)。