第4章 ザ・デート
「にしても、ここの公園すーっごい広いねぇ」
「奥のほう行ったら屋根の付いたベンチとかもあるよ。たまにね、サンドイッチとコーヒー持ってきて食べたりする」
「え、智くんが?」
「うん。散歩して、一人ランチ」
「へぇ~、そうなんだ」
「向こうっかわに湖もあるんだよ。結構おっきいやつ」
「ホント?あとで行ってみようよ♪」
「うん」
あ~…ホント、いいね。なんか“デート!”って感じ。天気もいいし、サワサワ葉っぱの音とか、まぶた閉じてても感じるやわらかな日差しとか…
あ~…心地いいねぇ…。
「…もしも~し。大野さ~ん?」
はいは~い…。
ンー…風が気持ちイイ…。多香子の太腿も、ちょー気持ちイイ…。
「もしもぉ~し?」
「ん~…?」
「せっかく遠路はるばるやってきたのに。枕にしてないで、もっともてなしてよ(笑)」
「ンー…。もぉちょっとだけ~…」
「もう。智くんはいっつもおねむだね?」
「…」
ホントはそうでもない。でもさ、こんなこと普段できないじゃん。家でも膝枕なんてしないし。こういうシチュエーションじゃない?膝枕のタイミングって。
…まあ、人目はあるし、何やってんだ!?って怒られそうだけど。あ、二人でデートしてる時点で事務所はアウトか(笑)。
でも、もうちょっとだけ…
「智くんってば」
「…」
「…ホントに寝ちゃったの?」
「…」
だって髪なぜてくれてる多香子の手、すげぇ気持ちいーんだもん…。
「もしもーし?」
「…」
しぶとく寝たフリしてたら…
「起きないなら…チューしちゃうぞ?」
「…」
耳元で小悪魔の囁きが(笑)。
目ぇつぶったまま唇とがらせたら、笑って帽子バフッって顔に被せられた。起きてんじゃんっ!って。
だから。ホントには寝てないってば。いくら寝不足でも。そんなね、もったいない。寝るわけないでしょ?せっかく久々に会ってるのに。甘く見てもらっちゃ困りますよ。
今日のオイラはヤル気モードだよっ?