第3章 トラブルⅡ
反射的に身を小さくした俺の背後で、また声がした。
「ねえってばぁ~。お兄さぁん」
「…」
「ね~、アタシと遊ばなぁ~い?」
「…」
え。俺?に声かけてる?もしかして。え、なんでっ?ナンパ??
あ
これ、逆ナンってやつか!?
「ね~えっ。そこのキャップ被ってるおにーサン♪」
「っ!」
…カンペキ俺だ。まわり、他に帽子被ってる人いねえし…
ていうか
このベンチ周辺、いま誰もいねえじゃんッ!!
…ヤバイ。こんなとこでバレたら待ち合わせどころじゃない。どうしよう。無視する?でも下手に騒がれたら余計面倒だし…
うわ、うわうわうわ、どうしよ。どうする俺っ。ちょーピンチッ!こっちもトラブル発生!!
カッツ カッツ♪
…ヤバイ。マジでマズイぞこれ。すげぇ軽いノリの足音が近づいてくるし。スキップしてるみたいな。天敵が徐々にせまってきてるっ。
どうしよう…
どうしようっ!?
ダダーッて思いっきり走って逃げる?でも逆にそっちのが目立つか?うわうわうわっ、マジどうしよ~~っ!!
コッツ コッツ♪
カッツ…
結局何もできずにその場で固まってたら
「っ!!!」
トン、と肩に手を置かれた!!!
「…っ…っ」
振り向けない。腕組みして下向いたまま、俺は息を殺して、寝たフリしてやり過ごそうと――…
思ってたのに
「ね。遊んで?」
…この声
あと、フワンと香ったにおい
「…」
ゆっくり振り向いたら
「ふふっ。びっくりしたぁ?(笑)」
「~~~~~」
多香子~~~ッ!!!