第6章 アヒルの中で
“遠距離恋愛”――難しいって言われる。確かに、かなり気合い入れないとデートは厳しい距離。二人とも休みが不定期だからなおさら。もともとあんまり会えなかったのに、さらに枷が増えてダブルパンチって感じ。
でもまあ…逆に闘志は沸くよね。負けるか!ってね(笑)。今はこのくらいでちょうどいいんだよ。一人の時間も充実してるし、やりたいこともやんなきゃなんないこともいっぱいあるから。会いたいなって想ったり、もう少し一緒に居たいな~ってとこで終了だったり。そういう方が、続くような気がする。
…ううん、続けていきたい。だからこそ、この距離感が今は大事。
もっと会いやすい距離に戻ってきたら、今度はたぶん、狂ったように通っちゃうだろうしね。離れてみて、ものすごい多香子が恋しいって思うようになったから。ホント好きなんだなって。改めて、思う、今日この頃…デス。
「…フフ」
「んふふっ」
照れくさくなって、二人とも笑いながら唇を離した。ホント、何やってんだろね。こんな、湖の上で。アヒルの中とは言え外なのに。久々に会うと、なんか開放的になっちゃって…ホント、参るねッ!
「がんばろうね」
「うん。…え?なにを?」
「うううん。頑張んなくても大丈夫だしね?」
「え、なにが??」
「フフフ。なんでもな~い」
「…変な智くん(笑)」
「うん。おいら今日、ちょっとヘンなの」
「あははは、そうなの?」
そうだよ。だって。
「久々に多香子に会えたから、だよ?」
「…そう、なの?」
「そうなの」
ホント、そうなの。テンション高いし。ウッキウキだし(笑)。
それに、さ。こんなとこでキスなんてしちゃったからさ…