第2章 放課後
「ん……京谷くん?戻ってきたの?」
ボーッと眺めている彼女の顔を見て俺は驚き
そして咄嗟に眼鏡を机の中に隠した。
眼鏡を外したコイツの顔。
目がくりっとしていて可愛いかった。
「あれ?眼鏡が無い……。京谷くん知らない?」
「……知らねぇ。」
俺は教科書とノートを取り出し宿題を始めた。
「……どこいったの?眼鏡無いと京谷くんに教えられないよー。」
「……プリントに解き方書いてある。
お前、目が悪いんだな。」
「うん、視力かなり悪いよ。今は京谷くんの顔もぼやけて見えるもん。」
そう言ってじっと俺を見てくる香坂。
テメェそんなに見つめられると照れるだろうが!
俺はノートに目線を移し黙々と宿題に取りかかった。
20分後宿題が終わる。
「……宿題終わった。先コーに出して帰るぞ。」
「あ、うん……眼鏡明日捜そう。」
俺は鞄に香坂の眼鏡を入れ教室を出ようとした。
香坂は何もかもぼやけて見えるのか
ヨロヨロと歩き出す。
「ほらっ、手ぇ貸せよ!連れてってやるから!」
俺は少し乱暴に香坂の手を取った。
「京谷くんありがとう。」
ニコリと笑う香坂に俺の心臓は爆発しそうだった。
職員室の先コーの机にノートを出し帰るため靴箱へ向かう。
「靴、出しといたから履けよ。」
俺は靴を出してやり
わざと香坂の目の前に立った。
案の定目の前がボヤけて感覚が鈍っているのか香坂は俺に倒れ込んできた。
「うわっ!京谷くんごめん!」
謝る香坂に俺は顔を近付かせそのまま
唇を奪った。
「!……京谷くん……今……」
香坂は自分の唇を指で触れた。
流石に視界がボヤけていても気付いたか。
「………悪りぃ。……お前の事が可愛すぎていじめたくなった……」
俺は香坂に眼鏡をかけてそのまま去った。
「京谷くん待ってよ!逃げるなんて卑怯だよ!」
卑怯だと?
俺は香坂の言葉に立ち止まってしまった。
「………責任とってよね……初めてだったんだから。」
こいつはどこまで真面目なんだよ。
俺は香坂を抱き締めて耳元で囁いてやった。
「責任、とってやるよ…………一生な。」